安養寺・木造蔵王権現立像/篭屋忠次郎の碑
[2019年5月15日]
安養寺の蔵王権現堂には、厨子入りの木造蔵王権現立像(高さ33.8cm)が伝わっています。この像は、銘文や作者名等の情報は得られていませんが、材質は桧で彩色・截金(きりかね)が施されています。全体の姿形や穏やかな表現などは、平安時代末期(12世紀)の特徴を示します。
厨子・台座・光背などは後補ですが、おおむね当初の像容、彩色をよく残し、地域の信仰の対象として、現在も大切に受け継がれています。現在確認できるかぎりにおいて、吉野地域に残る最古の木造蔵王権現像として貴重です。平成29年(2017年)8月7日、大淀町の指定文化財となりました。
安養寺には他にも、大淀町北方の「安佐谷(田口地区)」にあった寺院から移されたと伝える聖観音坐像や、県内でも珍しい享保5年(1720)の裏書をもつ大型の観経曼荼羅(236cm×231cm)が残されています。
蔵王権現立像
蔵王権現立像の顔
聖観音坐像
観経曼荼羅
動画での解説は、YouTubeのページ(別ウインドウで開く)をご覧ください。
安養寺境内には篭屋忠次(治)郎の碑もあります。碑には、「天保九年戌(1838年) 樹岳浄林信士 正月十九日」の銘があります。
篭屋忠次(治)郎は「増茶」開拓の恩人です。俗称「篭忠」ともいったそうです。
大正2年(1913年)刊行の『奈良県吉野郡史料』によると、彼は篭の製造とその行商で生計を立てていましたが、当地へ来て宇治の優れた製茶法などを伝えたとされる人物です。
篭屋忠次郎の碑
大淀町中増724。ふれあいバス「増原(ましはら)小幡(こばた)神社前」下車。北へ徒歩5分。仏像拝観の際は、事前に安養寺までご連絡ください。
業務時間:午前8時30分~午後5時15分(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)